みなさんは「置き配」というものをご存知でしょうか?
置き配というのは従来の対面による荷物の受け取りや宅配ボックスへの配達とは違い、本人確認や印鑑を必要とせず玄関前やガスメーターボックスなどに荷物を”置いて”配達していくサービスです。
2019年は置き配の実証実験を経て各サービスで徐々に導入されつつあるいわば置き配元年なのですが、どんなものなのか私も試してみたいと思ったので置き配バッグの「OKIPPA」を使用して置き配を体験してみました。
今回は置き配を使ってみた感想や実際に利用することで見えてきた問題点などを書いていきたいと思います。
置き配は宅配業界の惨状を変えるために生まれた
今までは配達員が来たときに送り状にはんこを押して荷物を受け取るという流れでした。
しかし、不在の場合は再配達になってしまうため双方にとってあまり良いことではありません。
そこで宅配ボックスというものが使われるようになります。
宅配ボックスには印鑑が入っているので、配達員が自分で送り状にはんこを押して鍵を掛ければ配達完了となるので再配達率を減らすことができました。
とはいえ日本における再配達率はまだまだ高く他にも問題が山積みなのが現状です。
宅配ボックス自体が思っているほど普及せず、ECサイトの影響で日本全体の荷物量が右肩上がりに増えている一方で、配達員の人手が足りていないという課題があります。
これらの課題を解決するために新たに導入を検討され始めたのが「置き配」なのです。
置き配バッグ「OKIPPA」について
OKIPPAはYper株式会社が提供している置き配専用のバッグです。
私がOKIPPAを使うことになった経緯は日本郵便が置き配体験モニターキャンペーンをやっていたからです。
合計10万人に無料でOKIPPAを配るということで、試しに応募してみたら見事当選したので良い機会と思い使ってみることにしました。
こちらが届いたOKIPPAです。
こんなものが無料で頂けるなんてキャンペーン様様です。
中には説明書やシールの他、本体のバッグ、固定用の結束バンド、南京錠、ダイヤル式専用ロックが入っていました。
OKIPPAの使い方は特殊ですが難しくはありません。
誰でも簡単に使えるかと思います。
バッグを畳んだ状態。
めちゃくちゃコンパクトです。
専用ロックや配達員用の説明書と共にバッグをドアノブや窓の鉄格子などに取り付ければ完了です。
もしOKIPPAに荷物を置き配してほしい場合は、注文するときに「OKIPPA預入希望」の文字を住所などに追記したほうがいいそうです。
置き配(OKIPPA)を利用してみた感想
まず、OKIPPA自体に関してはとても使いやすかったです。
最初のセットさえ終えてしまえばあとは荷物が届く度にOKIPPAを畳むだけなので楽。
かなりサイズがコンパクトになるので省スペースで済むのは良いですね。
そして肝心の置き配について。
今までは宅配ボックスに入らないサイズの荷物は受け取れませんでしたが、置き配なら心配ありません。
また、置き配対応の荷物は配達時に対面した場合も印鑑が不要になったため手間がなくなりました。
あと、地味に気になっていたのが宅配ボックス内に入れてある印鑑が盗まれたり無くならないかということ。(1度印鑑が放り出されて落ちていたことがあり、その時はとなりの家の人が気付いて知らせてくれました;;)
置き配バッグならこのあたりがクリアになるのが地味に良かったです。
置き配(OKIPPA)を利用して気になった点
配達員に置き配が周知されていない
私の場合は大丈夫でしたが、SNSで利用者の話を見ていると置き配指定しても置き配してくれないケースが度々あるようです。
まぁこれは単純に時が経てば自然と解決する問題だと思います。
置き配バッグの存在や使い方が周知されていない
OKIPPAを設置して以降、配達員とかなりの確率であったやりとりが「これって宅配ボックスですか?」という質問。
積極的にOKIPPAを推奨している日本郵便の配達員にさえ聞かれたので、置き配用バッグそのものが認知されていないようです。
このままOKIPPAの利用者が増えて置き配用のバッグやボックス=OKIPPAとして普及してくれればいいんですが、OKIPPA以外に置き配用バッグやボックスを販売する企業が現れると配達員が混乱するだけなので、OKIPPAを提供するYperには頑張ってもらいたいところです。
宅配ボックスと勘違いされる可能性
宅配ボックスと置き配バッグの明確に違う点は印鑑が入っていないということ。
置き配に対応していないサービスから出荷された印鑑を必要とする荷物だった場合、配達員は置き配バッグを宅配ボックスと勘違いして使おうとするかもしれません。
せっかく準備して荷物を詰めたのに印鑑が無い…これは配達員ブチギレ案件かと思います。
南京錠の問題 ※追記あり
OKIPPAに付属しているダイヤル式南京錠は鍵を解錠した状態で置いておきます。
この南京錠は解錠しているときはダイヤルが暗証番号で固定されてしまいます。
OKIPPAが届いて準備している段階で真っ先に気付いたのですが、これは悪い奴が事前に暗証番号を確認しておけばいつでも開けることが可能になっているということです。
他のダイヤル式南京錠も全てこういう仕組みなのかは分かりませんが、他の鍵やシステムに変更する必要があると思います。
配達員が誤って施錠してしまったときにすぐ解錠できるように…となっていますが、流石にこれでは鍵が無いのと変わらないかと。
12/06日追記
ダイヤル式南京錠から鍵を使うシリンダー式南京錠に変更された新モデルが発売されたようです。
防水性も上がっているそうなのでこれから利用する人は新型を、旧型を使っている人は買い換えるか南京錠だけシリンダー式に取り替えるのが良さそうです。
印鑑の存在意義
置き配が話題になったときに思ったのが、「じゃあ今まで何のために印鑑押してたんだ」ということ。
サインが必要な特別な荷物ならまだしも、同意があれば通常の荷物は印鑑ナシで配達可能ならば対面での荷物受け取りは印鑑不要と宣言すればよかったし、不在時も宅配ボックスを流用すれば全然構わなかったわけです。
普通の荷物なら印鑑いりません!と断言できなかったのは…いわゆる印鑑利権ってやつですかね…。
そう考えると印鑑不要の置き配普及のためにOKIPPAが無料で大量配布されたのは凄いことなのかもしれません。
盗難の可能性はやはり気になる
当初から盗難の危険性が問題視されていました。
だからこそOKIPPAがあるんですが、OKIPPAはあくまでも”簡易”なので壊すことも容易だったりします。
ただ大概の宅配ボックスも同じだしその気がある奴はどうやっても盗もうとするので、宅配ボックスだろうが置き配だろうが置き配バッグだろうが盗難の可能性は変わらないと私は考えています。
最悪盗まれてもいい荷物でのみ使うか、置き配保険に入るのが良いかと思います。
限定品とか高額商品が荷物のときはそもそも対面でちゃんと受け取りましょう。
さいごに
私はできるときは必ず在宅時に配達日時を指定するようにしているので置き配自体使う頻度は少ないのですが、どうしても不在のときは置き配が利用されてて有り難みを感じてます。
まだまだ置き配は始まったばかりで周知されてなく、これから本格的に盗難などが問題として上がるでしょうが、仮に失敗しても結果的に印鑑不要だけが残ってくれれば大きな進歩でしょう。
そこに一石を投じてくれたOKIPPAの功績はとにかく大きい。
宅配業界の悲惨さを私は知っているので、この流れで何とか置き配や宅配ボックスが普及してくれて少しでも改善してくれればなと思っています。
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